『Kingdom Chronicle(王国創世記)』Steam版 リリース日決定のお知らせ

久しぶりの更新になります。

しばらくブログの更新が止まっていましたが、その間も『Kingdom Chronicle』の調整と、Steam版の準備を進めていました。

そしてこのたび、Steam版のリリース日が決まりました。

『Kingdom Chronicle』Steam版は、2026年7月22日(水)20:00 にSteamで発売予定です。無料版を公開してから、ようやくSteam版の発売日を告知できるところまで来ました。

今回は、Steam版のリリース日決定のお知らせと、無料版からSteam版で変わった点についてまとめます。

■ Steam版のリリース日が決まりました

『Kingdom Chronicle』Steam版の発売日は以下の予定です。

2026年7月22日(水)20:00

Steamストアページはすでに公開済みで、現在ウィッシュリスト登録が可能です。

また、リリース日決定にあわせて、Steam版として初めてのプレー動画も公開しました。序盤に何をすればよいか、実際のゲーム画面を使って紹介する内容です。

『Kingdom Chronicle』は、ターン制のファンタジー戦略SLGです。一国の主となり、武将を集め、内政を行い、同盟や援軍を活用しながら、天下統一を目指します。

戦闘は自動解決で、プレイヤーは細かな部隊操作ではなく、

・どこへ出陣するか
・誰を向かわせるか
・どの勢力と同盟するか
・援軍を頼むか、送るか
・どの武将を登用/引抜/捕縛するか

といった戦略判断を中心に進めていきます。


■ 無料版公開からSteam版へ

『Kingdom Chronicle』は、まず無料版を公開しました。

無料版は体験版ではなく、最後まで遊べる完成版です。まずは自分の作った戦略SLGを、実際に遊べる形で公開する。そこを大きな区切りとして考えていました。

その後、無料版をベースにしながら、Steam版に向けて調整や追加実装を進めてきました。

Steam版は、無料版からゲーム内容を根本的に別物にするものではありません。ただ、Steamで販売する版として、UI、ヘルプ、武将、イベント、シナリオ構成などを見直し、より遊びやすい形に整えています。

無料版を遊んでくださった方にも、Steam版では細かい部分の違いや調整を感じていただけると思います。

ゲーム全体の流動性を高めるため、名声の自然減少、破棄のペナルティ緩和、AI勢力が積極的に同盟を組み替える鞍替え外交、全土戦限定での予期せぬ蜂起(新たな勢力の発生)など、終盤まで盤面が動き続ける調整を入れています。難易度が上がるほど、AI勢力は最大勢力の一強化を許さない動きになっていきます。

また迎撃に強い新兵科「重装」の登場、孤軍奮闘や虚報など援軍に対する強化/弱体する特技も新たに追加しています。

この辺りは好みが分かれる部分なので、Steam版の調整を無効化し、無料版と同じ挙動で遊べるモードも用意しました。AI思考や細かなルールを従来どおりにしたい方は、そちらを選んでいただけます。

■ Steam版ではUIをかなり見直しました

Steam版に向けて、特に時間をかけたのがUIまわりの見直しです。

見た目のブラッシュアップだけでなく、各種情報の配置、ボタンの見え方、結果画面の読みやすさ、ヘルプへの導線など、かなり細かく調整しました。

『Kingdom Chronicle』はシンプル寄りの戦略SLGですが、それでも扱う情報はそれなりにあります。

・武将の能力値
・勢力の状態
・同盟関係
・友好度
・信頼度
・拠点情報
・戦争やイベントの結果
・ターンごとの変化

こうした情報が見づらいと、ゲームの流れそのものが分かりにくくなります。

そのためSteam版では、見た目を整えるだけでなく、「どの情報を、どこで、どのタイミングで見せるか」を意識して調整しました。

UIは一度作って終わりではありませんでした。実際に動かしてみて、

・この情報はここに出た方が分かりやすい
・このボタンは少し目立たない
・この結果表示は読む順番が分かりにくい
・ここはもう少しゲームらしい見た目にしたい

と感じるたびに、何度も張り替えています。

これは「これだけ頑張りました」と言いたいわけではなく、自分が納得できるところまで突き詰めたかった、という感覚に近いです。

『Kingdom Chronicle』は、複雑なシステムで押し切るゲームではありません。だからこそ、毎ターン触る画面の分かりやすさや、結果表示の気持ちよさは大事にしたいと思いました。

無料版の時点でも一通り遊べる形にはなっていましたが、Steam版ではそこからさらに、見た目と操作感を整える方向でかなり手を入れています。

大きな新システムを足すというより、今あるゲームをきちんと遊びやすく磨く。Steam版では、そこをかなり意識しました。


■ ゲーム内ヘルプを追加しました

Steam版では、ゲーム内ヘルプも充実させました。

これまでもWebマニュアルは用意していましたが、プレイ中に毎回ブラウザで確認するのは少し手間です。

そこで、ゲーム内でも簡単な説明を見られるようにしました。各コマンドの意味や、序盤に何をすればよいかなど、最低限の情報はゲーム内で確認できるようにしています。

もちろん、細かい仕様まで完全にゲーム内で説明しきるのは難しいので、詳しい情報はWebマニュアル側に残しています。ただ、最初の取っかかりとしては、ゲーム内ヘルプだけでもある程度分かるようにしたいと考えました。

『Kingdom Chronicle』は、複雑で挫折させるゲームではなく、戦略SLGの最初の一歩として遊べるものにしたい。そのためにも、ヘルプまわりはSteam版でかなり意識して整えています。

各所に「?」ボタンを配置しており、簡単な説明が参照できます。
Webマニュアルで最もアクセスが多い特技一覧をゲーム内へ実装しました。


■ 無料版からの主な追加要素

Steam版では、無料版からいくつかの追加要素があります。

まず、武将を24名追加しました。無料版では144名だった武将数が、Steam版では168名になります。

武将は、探索による登用、他勢力からの引抜、戦争や滅亡時の捕縛など、ゲーム中のさまざまな流れで登場します。武将数が増えることで、プレイごとの出会い方にも少し幅が出ると思います。

また、軍師助言のバリエーションも追加しました。
それに併せて「いつでも助言」ボタンも実装。ボタンクリックでいつでも状況に応じた助言を聞く事ができます。

フクロウのボタンをクリックで軍師の助言がいつでも。

『Kingdom Chronicle』では、プレイヤーの判断を補助するために軍師が助言を出します。出陣、計略、外交、ターン開始時の状況など、さまざまな場面で一言コメントが入ります。Steam版では、この助言の種類を増やし、より状況に応じた案内が出るようにしました。

さらに、ターンイベントも追加しています。

季節や勢力状況に応じて発生するイベントに加え、名声が上昇するイベントも追加しました。名声は、勢力の評判のようなパラメータです。同盟や援軍、破棄など、勢力間の関係にも関わるため、単なる飾りの数字ではなく、ゲーム中で意味のある値として扱っています。

ターンイベントが増えることで、毎回の展開にも少し変化が出るようになりました。

■ 全シナリオの拠点と接続も調整しました

Steam版では、全シナリオに拠点を追加し、接続も調整しました。

戦略SLGでは、マップ上の拠点配置と接続がかなり重要です。

・どこからどこへ攻められるのか
・どの勢力が孤立しやすいのか
・同盟によってどのルートが塞がるのか
・拠点数によって武将枠や行動回数がどう変わるのか

こうした部分は、拠点の数やつながり方によって大きく変わります。

無料版公開後の調整として、各シナリオの拠点を増やし、接続関係も見直しました。これにより、勢力ごとの展開や、序盤の動き方にも少し変化が出ると思います。

派手な追加要素ではありませんが、戦略SLGとしての遊び心地にはかなり影響する部分です。

シナリオ3では北の山間部、南西の島に拠点を増設。
全土戦マップでは南北に回廊を用意しました。


■ 『Kingdom Chronicle』は、戦略SLGの最初の一歩として作ったゲーム

以前の記事でも書きましたが、『Kingdom Chronicle』は、複雑な戦略SLGへの入口になるようなゲームを目指して作りました。

昔の光栄ゲームのような、数字を眺めながら国を育て、武将を動かし、外交し、戦争するゲームが好きでした。

一方で、最初からあまりに複雑にしすぎると、初めて触る人には入りづらくなります。そこで『Kingdom Chronicle』では、要素をかなり絞っています。

・内政
・外交
・謀略
・武将登用
・出陣
・援軍
・自動戦闘

戦略SLGらしい要素は残しつつ、できるだけ流れを追いやすくしました。

複雑で挫折させない。でも、国を広げていく楽しさや、武将を集める楽しさは残したい。そういう考えで作った作品です。

『Kingdom Chronicle』は、自分にとって戦略SLG制作の最初の大きな一歩でもあります。まずはこの作品を、Steam版としてしっかり届けたいと思っています。

■ 次回作についても検討中です

少し先の話になりますが、次回作についても少しずつ検討を始めています。

『Kingdom Chronicle』は、戦略SLGの入口になるようなゲームとして作りました。複雑で挫折させない。けれど、国を広げる楽しさ、武将を集める楽しさ、外交や戦争を考える楽しさは残す。そういう方向性の作品です。

一方で、本作を遊んで「もっと管理要素が多い方が好き」「もう少し本格的な戦略SLGを遊びたい」と感じる方もいるかもしれません。そういう方に向けた作品も、いずれ作ってみたいと考えています。

ただ、どういう規模のものにするか、いつ頃になるかは、まだはっきりとは決めていません。

正直なところ、次にどれくらいのものを作れるかは、本作をどれだけの方に遊んでいただけるかにもよります。個人開発なので、やりたいことを全部入れるとすぐに破綻しますし、規模が大きくなるほど時間もかかります。だからこそ、ここは慎重に考えているところです。

それでも、『Kingdom Chronicle』を作ったことで見えてきたものはかなりあります。本作を入口として遊んでもらい、そこからもう少し骨太なSLGへ進みたい人に向けて、次の作品を考えていきたいと思っています。

まずは、目の前の『Kingdom Chronicle』を、きちんと届けることに集中します。

■ 今後の予定

Steam版のリリース日まで、引き続き細かな調整を行っていきます。

大きな仕様追加というよりは、表示の分かりやすさ、不具合修正、バランス確認、ストアページや告知まわりの準備が中心になります。

無料版を公開した時点でも大きな区切りでしたが、Steam版のリリース日はまた別の意味で大きな区切りです。

個人開発なので、できることには限りがあります。それでも、自分が好きだった戦略SLGの感覚を、自分なりに形にしたいと思って作ってきました。

発売まであと少し。引き続き『Kingdom Chronicle』をよろしくお願いいたします。

■ Steamストアページ

『Kingdom Chronicle』Steamストアページはこちらです。

https://store.steampowered.com/app/4855560/Kingdom_Chronicle

ウィッシュリスト登録していただけると、とても励みになります。

https://gamebiz.jp/news/429103

シンプルなSLGを作る理由 〜あの骨太な世界への、最初の一歩〜

前に、昔の光栄ゲームが好きだったという話を書いた。

画面いっぱいに数字が並び、武将の能力値を眺め、地図を見ながら次の一手を考える。
少し面倒で、少し不親切で、でもずっと遊んでいられる。
あの「数字の向こうに国が見える」感覚が、私はとても好きだった。

その記事を書いたあとで、ふと思ったことがある。

あの面白さに、今の人たちはどうやって出会うんだろう、と。

■ 「面倒くさいから面白い」は、入口では「面倒くさそう」になる

昔の歴史SLGや戦略SLGには、面倒くささがあった。
そして私は、その面倒くささこそが面白いと思っている。

ただ、これは少し残酷な話でもある。

「面倒くさいから面白い」は、すでにその面白さを知っている人の言葉だ。
初めてその画面を開いた人にとっては、ただ「面倒くさそう」で終わってしまう。

画面いっぱいの数字。
たくさんのパラメータ。
何をすればいいのか分からない最初の数十分。

刺さる人には深く刺さる。
けれど、刺さる前に閉じてしまう人も、たぶん同じくらいいる。

私が愛したあの沼は、入口がとても高い。
そして、その高さのせいで、たどり着く前に引き返してしまう人がいる。

それは、少しもったいないことだと思う。

■ だから、入口だけを低くしたかった

今、私は『王国創世記 -Kingdom Chronicle-』という戦略SLGを作っている。

このゲームは、シンプルだ。
管理する要素を絞り、画面を見やすくし、直感的に触れるようにしている。

これは、骨太なSLGを否定したかったからではない。

むしろ逆だ。

あの骨太な世界が好きだからこそ、その入口を作りたかった。

いきなり複雑で、大量のリソース管理を求められるゲームは、初心者にとって食わず嫌いの対象になりやすい。
面白さを知る前に、難しさで弾かれてしまう。

だから、まず気軽に触ってもらえるようにした。
ターンを進める。
武将を配置する。
国を少しずつ広げる。

その「国を動かす楽しさ」の片鱗を、まず味わってほしい。

シンプルなのは、手を抜いたからではない。
何を残し、何を削るかを考え続けた結果だ。
正直なところ、足すよりも削るほうがずっと難しかった(笑)

最初に目にする勢力選択画面だがここから相当悩んでデザインした
起点となる画面は色々なデザインと試したが一長一短があり紆余曲折
武将管理やコマンド群も極力簡素に


■ シンプルの中に、奥行きを忍ばせたい

とはいえ、ただ薄いゲームを作りたいわけではない。

私がもう一つ大切にしたいのは、少ないルールやリソースで、どこまで奥深さを出せるか、という点だ。

シンプルなものは、放っておくと単調になる。
これは作っている自分が一番よく分かっている。
だから、その単調さを別の要素でどうカバーするかを、ずっと思案している。

たとえば、戦争で押し合うだけが盤面を動かす方法ではない。
計略で揺さぶる。
忠誠の低い武将を引き抜く。
適度に親睦を深めて、関係を変えていく。

少ない要素の中にも、膠着した盤面を動かす手は隠してある。

すぐには見えないかもしれない。
そこは私の見せ方の課題でもあると思っている。
このあたりは、また別の記事で、実際のプレイを通して紹介してみたい。
開発者が考える特技ランキングなんかも、やってみたら面白いかもしれない(笑)

■ 「こうだったらいいな」が生まれたら、それはもう

私がこのゲームで一番作りたいのは、プレイした人の中に「こうだったらいいな」が生まれる状態だ。

ここでもっと計略が使えたら。
こういう外交ができたら。
この武将に、もっと活躍の場があれば。

プレイしながら、そんな要望が頭に浮かんでくる。

実は、その感覚こそが、SLGにハマる入口なのだと思う。

物足りなさは、欠点であると同時に、次の興味でもある。
「もっとこうしたい」と思い始めた人は、もうSLGの面白さの側に立っている。

もし、このゲームを遊んで「物足りない」と感じた人がいたなら。
その人は、たぶん、もっと骨太なSLGを楽しめる人だ。
『烈風伝』や『ロイヤルブラッドⅡ』のように箱庭を作り込む奥深さも、『提督の決断Ⅲ』のように数字と睨み合う歯ごたえも、その先には待っている。

だとしたら、それはこのゲームにとって、失敗ではない。
むしろ、入口としての役割を果たせたのだと思う。

■ SLGの沼へ、ようこそ

私の願いは、少し欲張りかもしれない。

『王国創世記』で「SLGって面白いかも」と思ってくれた人が、いつかもっと複雑で骨太なSLGに手を伸ばしてくれたら。
あの、数字の向こうに国が見える世界に、たどり着いてくれたら。

このゲームを、終着点ではなく、入口にしたい。

そして、もう一つ。

長くSLGを愛してきた人たちが、その新しい仲間を迎えてくれたら、と思う。

このジャンルは、決して万人向けではない。
それでも好きだと言い続けてきた人たちが、ずっと支えてきた。

その裾野が、少しでも広がってほしい。
新しいプレイヤーが、SLGの面白さに出会う最初の一歩になれたら。

それが、このゲームに込めた、一番の願いだ。

少し古くて、少し面倒で、でもずっと遊んでいられるSLG。
その入口に、一人でも多くの人が立ってくれることを願っている。

『王国創世記 -Kingdom Chronicle-』は、たぶん、その思いから始まっている。

数字の向こうに国が見えた頃――昔の光栄ゲームと今作りたいSLG

昔の光栄ゲームが好きだった。

ここで言う「昔」というのは、だいたい2000年より前の光栄ゲームのことだ。

『信長の野望』や『三國志』のような歴史シミュレーションを中心に、『提督の決断』『大航海時代』『チンギスハーン』『ロイヤルブラッド』など、当時の光栄は今振り返ってもかなり幅広いシミュレーションゲームを出していたと思う。

そして私は、それらをかなり繰り返し遊んだ。

今の基準で見れば、決して派手なゲームではなかったかもしれない。
画面いっぱいに数字が並ぶ。
武将の能力値、兵士数、金、米、忠誠、訓練、友好度、都市の状態、艦隊、交易品、名声。
人によっては「表計算ソフトみたい」と感じるかもしれない。
けれど、私はそこにワクワクしていた。

数字の向こうに国があり、武将がいて、戦争があり、外交があり、世界があった。

■ 繰り返し遊んだ光栄ゲームたち

昔の光栄ゲームは、本当にいろいろ遊んだ。

まず『信長の野望』。
一番遊んだのは『信長の野望・烈風伝』だと思う。
続いて『信長の野望・将星録』、そして『信長の野望・武将風雲録』。
『烈風伝』は特に、全国マップの上で城や勢力が動いている感覚が強く、何度も繰り返し遊んだ記憶がある。

国を少しずつ広げていく。
武将を集める。
内政を整える。
隣国の動きを見ながら、次にどこを攻めるかを考える。

その積み重ねがとても楽しかった。
『将星録』や『武将風雲録』も含めて、やはり『信長の野望』シリーズには、国取りSLGとしての強い魅力があったと思う。

次に『三國志』シリーズ。
こちらは『三國志III』を最も遊んだ。
続いて『三國志II』『三國志IV』『三國志V』の順だと思う。
『三國志III』は、当時かなり繰り返し遊んだ。
武将の能力値を眺め、都市の状態を見て、誰をどこに置くかを考える。
強い武将だけを集めれば良いというわけではなく、微妙な能力の武将にも役割を与えながら国を動かしていく感じが好きだった。

数字を見ているだけで、次にやることが頭の中に浮かんでくる。
そういうゲームだった。

『提督の決断』では、『提督の決断III』を死ぬほど繰り返しプレイした。
題材としては太平洋戦争なので、かなり重いテーマではある。
ただ、戦略シミュレーションとして見ると、艦隊運用、戦線管理、資源、作戦の組み立てなど、考えることが非常に多かった。
この「考えることが多すぎる感じ」も、当時の光栄ゲームらしさだったと思う。

すぐに分かる面白さではない。
けれど、分かってくると延々と遊んでしまう。
『提督の決断III』には、そういう中毒性があった。

『大航海時代』では、『大航海時代II』が一番好きだった。
交易、冒険、海戦、世界を巡る自由さ。
歴史SLGとは少し違うが、世界が広がっていく感覚がとても良かった。
港を巡り、交易品を運び、冒険を進め、時には戦う。
国取りとは違う形で、世界地図を眺める楽しさがあった。
次点では『大航海時代III』も印象に残っている。
ただ、こちらは少し難しすぎた。
面白いのだけれど、かなり人を選ぶゲームだったと思う。
それでも、あの挑戦的な作りは強く記憶に残っている。

『チンギスハーン 蒼き狼と白き牝鹿IV』も繰り返し遊んだ。
とにかく世界が広い。
東アジアだけではなく、ユーラシア全体を舞台にしているようなスケール感があり、「世界を相手にしている」感覚があった。
日本や中国だけではなく、遠く離れた地域まで含めた広大な世界。
この広さは、他の歴史SLGとはまた違う魅力だった。
マップを見ているだけで楽しい。

次はどこへ進むのか。
どの地域を押さえるのか。
どこに敵がいるのか。

そういうことを考えるだけで、かなり時間が過ぎていった。

そして最後に、『ロイヤルブラッドII 〜ディナール王国年代記〜』。
これは個人的に、相当好きな部類のゲームだ。
歴史ものではなく、ファンタジー世界を舞台にした戦略シミュレーション。
国があり、人物がいて、世界があり、その中で勢力を動かしていく。
大作RPGでもなく、派手なアクションでもなく、キャラクターを前面に押し出すゲームでもない。
ファンタジー世界を舞台にした、骨太な戦略SLG。
こういうゲームは、今では本当に出なくなったと思う。

私が今作っている『王国創世記 -Kingdom Chronicle-』にも、このあたりの影響はかなりある。

■ 昔の光栄ゲームは、決して万人向けではなかった

昔の光栄ゲームは、決して万人向けではなかったと思う。

説明不足な部分もある。
画面も派手ではない。
演出も控えめ。
操作も、今のゲームほど親切ではない。

そして値段もやたら高かった(笑)

けれど、その分だけプレイヤーが想像する余地が大きかった。
数値とテキストと顔グラフィックだけで、こちらは勝手に物語を作っていた。
この武将は能力は低いけれど、長年仕えてくれているから使い続けたい。
隣国とは今戦いたくないから、しばらく同盟しておこう。
この都市は兵糧が少ないから、長期戦に持ち込めば勝てるかもしれない。
忠誠が低い武将がいるから、引き抜けるかもしれない。
ゲーム側がすべてを演出してくれるわけではない。
むしろ、かなりの部分をプレイヤーの想像力に委ねていた。

私はそこが好きだった。

■ 面倒くさいから面白かった

昔の歴史SLGや戦略SLGには、面倒くささがあった。

国ごとに命令を出す。
武将ごとに役割を考える。
都市の数字を見比べる。
隣国との関係を見る。
兵力を確認する。
忠誠を気にする。
外交を考える。

今のゲームなら、もっと自動化される部分も多いと思う。
けれど、その面倒くささこそが面白かった。
プレイヤーが手を入れた分だけ、国が少しずつ強くなっていく。
よく考えずに動けば、外交で孤立したり、兵糧が尽きたり、武将が離反したりする。
派手なアクションではなく、盤面と数字の積み重ねで遊ぶゲームだった。

そして、そういうゲームはかなり人を選ぶ。

万人向けではない。
チュートリアルで気持ちよく遊ばせるタイプでもない。
見た目だけで面白さが伝わるゲームでもない。

でも、刺さる人には深く刺さる。

昔の光栄ゲームには、そういう強さがあったと思う。

■ いつからか、光栄ゲームを買わなくなった

ところが、いつからか私は光栄、そして現在のコーエーテクモのゲームをあまり買わなくなった。

全く買わないわけではない。
気になるタイトルがないわけでもない。
ただ、かつてのように「これは絶対に遊びたい」と思うことが減っていった。

理由はいくつかあるが、一番大きいのは、ゲームの方向性が変わっていったように感じたからだ。
もちろん、会社として大衆向けに作るのは正しい。

ゲーム開発にはお金がかかる。
売れなければ続かない。
分かりやすく、見栄えよく、広い層に届くゲームにしていくのは当然の判断だと思う。

むしろ、企業としてはそちらの方が正しい。

ただ、その一方で、自分が好きだった「画面いっぱいの数字と、複雑な判断を楽しむゲーム」は、だんだん主流から外れていったようにも感じる。

大衆向けになるほど、分かりやすさが求められる。
テンポの良さも必要になる。
見た目の派手さも必要になる。
キャラクター性や演出も、昔よりずっと重視される。

その流れ自体は否定できない。

けれど、その中で、昔の光栄ゲームにあったような、少し不親切で、少し面倒で、でも延々と考えていられるSLGは作りにくくなったのだと思う。

■ 今、大手メーカーが作りにくいSLG

今の大手メーカーが、昔のような骨太なSLGを作りにくいのは分かる。
開発費は上がり、ゲームに求められる見た目の水準も上がった。
分かりやすさ、テンポの良さ、派手さ、キャラクター性。

そういうものが重視されるのは当然だと思う。

画面いっぱいに数字が並び、プレイヤーがそれを眺めながら国の行く末を考えるようなゲームは、たぶん今の大作市場では売りにくい。

かなり人を選ぶ。
すぐに面白さが伝わるタイプでもない。
動画映えもしにくい。
チュートリアルで全員を気持ちよく導けるゲームでもない。

だから、大手メーカーがそういう方向に行きにくいのは理解できる。
売上が立たなければ、継続して作ることはできない。

会社である以上、それは当然だ。

ただ、それでも私はそういうSLGが好きだった。
内政をして、武将を集めて、同盟を結んで、裏切って、攻め込んで、国を少しずつ広げていく。
数字として表示されるだけの友好度や忠誠や兵力に、勝手に物語を感じる。
派手な演出がなくても、頭の中ではいろいろなドラマが起きている。

そういうゲームが、今でも好きだ。

■ 牧歌的で、骨太で、少し古いSLG

昔の光栄ゲームには、どこか牧歌的な良さがあったと思う。

もちろん、ゲームの題材は戦争だったり、国盗りだったり、決して牧歌的な内容ばかりではない。

それでも、プレイ感としては、どこかのんびりしていた。

ターンを進める。
数字を見る。
内政する。
武将を配置する。
外交する。
戦争の準備をする。

すぐに反射神経を求められるわけではない。
派手なコンボを決めるわけでもない。
自分のペースで盤面を眺めて、考えて、少しずつ国を動かしていく。

そういう時間があった。
今の時代に、そのまま昔のゲームを再現しても通用しないとは思う。

UIは見やすくしたい。
操作も分かりやすくしたい。
演出もある程度は必要だと思う。
テンポも悪すぎてはいけない。

けれど、根っこにある楽しさは残したい。

数字を見て考える楽しさ。
国を育てる楽しさ。
武将に愛着を持つ楽しさ。
勢力同士の関係が少しずつ変わっていく楽しさ。
自分だけの戦史が生まれていく楽しさ。

そういうSLGを作りたい。

■ だから、自分で作りたい

今、自分で『王国創世記 -Kingdom Chronicle-』という戦略SLGを作っている。

これは歴史SLGそのものではない。
舞台は中世風のファンタジー世界で、実在の武将や歴史上の国家が登場するわけではない。
けれど、根っこの部分では、昔の光栄ゲームから受けた影響がかなり大きいと思う。

国を動かす楽しさ。
武将の能力値を眺める楽しさ。
勢力間の外交関係を見る楽しさ。
忠誠や友好度の数字に意味を持たせる楽しさ。
地図を眺めながら、次にどこへ攻めるかを考える楽しさ。

そういうものを、自分なりにもう一度作ってみたい。

昔の光栄ゲームそのものを再現したいわけではない。
今の時代に合わせて、見た目も操作性も整えたい。

ただ、あの頃に感じていた、

「数字の向こうに国が見える」
「武将の能力値を眺めているだけで楽しい」
「世界地図を見ながら次の一手を考える」

という感覚は、自分の中にかなり強く残っている。

『王国創世記』にも、たぶんそれがにじみ出ていると思う。

■ 刺さる人には刺さるゲームを作りたい

大衆向けではないかもしれない。
派手なゲームでもないかもしれない。
今の主流から見れば、少し古いゲームに見えるかもしれない。

けれど、刺さる人には刺さる。

昔の光栄ゲームには、そういう魅力があった。
画面いっぱいの数字を見て、面白そうだと思える人。
武将の能力値を眺めて、配置を考えるだけで楽しい人。
地図を見ながら、次の一手を考えるのが好きな人。
国が少しずつ広がっていくのを見るのが好きな人。

そういう人に届くSLGを作りたい。

今の大手メーカーがなかなか作らないなら、個人開発だからこそ作ってもいいのではないかと思っている。
売れ筋から外れていてもいい。
少し面倒でもいい。
分かる人にだけ深く刺さるゲームでもいい。
むしろ、そういうゲームを作れるのが個人開発の良さなのかもしれない。

少し古くて、少し面倒で、でもずっと遊んでいられるようなSLG。
数字の向こうに国が見えるようなSLG。

そんなゲームを作りたいと思っている。

『王国創世記 -Kingdom Chronicle-』は、たぶんその思いから始まっている。